泣く女性
映画「タイタニック」が世間を賑わせていた頃、友人のMは当時好きだった男と一緒にタイタニックを観に行ったらしい。友人Mは、派手なアクション映画やコメディーが好きな女で、甘いラブストーリーには髪の毛の先ほどの興味も無かったそうだが、好きだった男に誘われたため、全く興味をそそられないにも関わらず、「前から観たかったんだ!」と満面の笑みで誘いに応じた。
そしていよいよ映画鑑賞の当日。上映中も、「長いよ。早く終われよ。」と全くストーリーに共感できないM。しかし、隣にいるのはどうしても落としたい男。そこでMは、泣くことにした。「男って『映画を観て泣く女』が好きに違いない。」と考えてのことだ。ところが、いざ泣こうとしても、全く共感できない内容のために泣くことができない。Mはタイタニックのストーリーそっちのけで、自分の祖父の葬儀を思い出し、必死で涙を絞り出した。「女の涙に男は弱い。しかし、あまり泣きすぎて化粧が落ちてしまっては台無しだ。」ということまで計算にいれ、ハンカチで目元を押さえながら激しく鼻をすすりながら、2時間以上ある映画鑑賞を乗り切った。
その作戦が功を奏したのかはわからないが、見事その映画の男と付き合うことになったらしい。Mの場合に限らず、涙を便利なツールとして使う女は少なくない。女性の涙は、安易に信用できないものなのだ。