「出会いがない。」
独り身の彼女の口癖だ。彼女はよく笑い、話題も豊富。こちらの悩みには親身になって相談にのってくれる。見た目も悪くない。学生時代に勤めていたキャバクラでは常に指名が入っている人気のキャバ嬢だった。しかし不思議なほど、いつまでも彼氏ができない女である。
 ある時、私の彼氏と彼氏の友達がスノーボードに行こうと誘ってきた。いい出会いになるんじゃないか、と思い、いつも「出会いがない。」と嘆いている彼女も誘ってみた。案の定、「絶対いく!」とすぐに返事をしてきた彼女。「このチャンス生かしてみせる。」と意気込んでいた。
 当日。全く滑れない彼女に、私の彼氏の友人がつきっきりで教えていて、まるで恋人同士のように楽しそうにしていたので「これは付き合うな。」と思っていた。
 後日、友人に「あの彼とどうなった?」と聞いてみると、「あぁ、あれ?なんか合わないからもう連絡とってないよ。」との返事。あんなに楽しそうにしてたじゃないか!何がだめなんだよ!「だって毎日電話してくるんだよ。ありえない。」
 あの意気込みはどこへやら。相変わらず彼女は「いい出会い、無いかなあ。」とつぶやいている。出会いがない女なんていない。「出会いがない」とつぶやく女性は出会いを無駄にしているだけだと思ってしまった。